お布施・香典・会食代:それぞれの相場と渡し方

葬儀や法要の場面で欠かせない「お布施」「香典」「会食代」。しかし、それぞれが何を指し、どのように包めばいいのか分からないという人も多いでしょう。
本記事では、お布施・香典・会食代の基本的な意味と相場、そして浄土真宗の視点から見た心構えや渡し方のポイントを解説します。

目次

1. お布施とは?

「お布施」は、僧侶に対して「お礼」を渡すという意味合いだけではなく、「信仰心による喜捨」を示すものです。特に仏教の場では、

  • 葬儀や法要で僧侶に渡す
  • 寺院に対して寄進という形で渡す

など、仏法を支えるための供養としての側面があります。
「お布施」という言葉を使うのは、主に僧侶や寺院に対してお金を渡すときで、「戒名料」「読経料」といった言い方は本来はしません。
金額は地域や寺院、法要の規模などによって異なり、

  • 葬儀の場合:10万~50万円程度が多い(葬儀規模による)
  • 法要の場合:1万円~3万円程度が目安(回忌法要の規模による)

といった幅があります。
渡し方としては、白無地の封筒奉書紙に包み、「御布施」などの表書きをして渡すのが一般的です。

2. 香典とは?

「香典」は、弔問客が葬儀の際に遺族に渡すお金のことです。「お香の代わり」とも言われ、故人に手向ける意味をもっています。

  • 表書き: 「御霊前」「御香典」「御香料」などと書く(浄土真宗では「御仏前」も用いられることが多い)。
  • 香典の相場: 近親者、親しい友人、職場関係などによって変わる。
    例)近親者:3万円~10万円ほど/友人・知人:5千円~1万円ほど
  • 包み方: 香典袋(不祝儀袋)に入れて渡す。表書きと中袋で名前や金額をはっきり書く。

香典は、あくまで遺族を助ける意味合いを持ちます。「他力本願」の発想を取り入れると、「自分だけで悲しみを抱えない、周囲の助けを得てもいい」という理解にも繋がるかもしれません。

3. 会食代とは?

「会食代」は、葬儀や法要後の会食にかかる費用を指します。いくつかのパターンがあります:

  • 精進落とし: 葬儀終了後、遺族や親族、僧侶が集まって食事をする
  • 法要後の会食: 年忌法要などの後に参加者で行う食事会

基本的には、遺族や施主が会食費用を負担する形が多いです。
相場としては、

  • 1人あたり3千円~5千円程度の料理を用意する
  • 会場費を含めて1万円~3万円ほどかかることもある(参加人数による)

参列者が会食に参加せず帰る場合は、「お斎(おとき)」として料理を持ち帰ってもらう、または会食代を浮かせることもあります。
浄土真宗でも会食自体は行われますが、「肉や魚を一切使わない精進料理」という制限は必ずしも厳格ではありません(地域差や寺院による)。

4. それぞれのお金を渡すタイミングと表書き

「お布施」「香典」「会食代」のそれぞれを渡す場面と表書きのまとめは以下の通りです:

名称 渡すタイミング 表書き 相場
お布施 僧侶に依頼する
葬儀や法要の前後
「御布施」など 葬儀:10万~50万
法要:1万~3万
香典 葬儀・通夜の際、
会場受付で
「御霊前」「御香典」
「御仏前」(浄土真宗)
親族:3万~10万
友人:5千~1万
会食代 精進落とし・法要後
の食事時など
特に袋は用いず
遺族が負担する形も
1人3千~5千円程度
(参加人数次第)

5. 浄土真宗の「他力本願」を踏まえた捉え方

お布施や香典は、単なる「お金のやりとり」ではなく、故人や遺族、僧侶への感謝や助け合いの気持ちを形にしたものとも言えます。
浄土真宗の「他力本願」の考えでは、人は阿弥陀如来の光に支えられて生きると捉えますが、葬儀や法要でのお布施や香典にも「支え合い」という温かい精神が含まれると考えると、過度な罪悪感や義務感に縛られず、自然な感謝としてお金を渡せるかもしれません。

まとめ:それぞれの意義と相場を把握し、感謝の気持ちで贈る

  • お布施: 僧侶への感謝と仏法を支える気持ち。「御布施」の表書きで
    相場は地域・法要規模によるが、葬儀10万~50万法要1万~3万が目安。
  • 香典: 弔問客から遺族へ渡される費用。
    「御霊前」「御香典」「御仏前」(浄土真宗)などの表書きで包む。
    相場は、親族3万~10万友人5千~1万が主流。
  • 会食代: 精進落としや法要後の食事費用。
    遺族や施主が負担するケースが多い。1人3千~5千円程度が目安。

これらの金品は「どうしてこんなに支払うの?」と戸惑うこともあるかもしれません。しかし、葬儀・法要の場は家族や故人を支え合う時間であり、お金を通じて感謝や協力を具体的に表す行為と捉えると理解しやすくなります。
浄土真宗の「他力本願」を意識し、「自分がすべてを背負わなくてもいい」「阿弥陀如来や周囲の助けに生かされている」という安心感を持つと、お布施や香典への過度なプレッシャーや義務感が和らぐかもしれません。
最終的には感謝と共感をもってお金を贈り合う——その精神こそが、故人への想いや家族の絆を深める鍵となるでしょう。

参考資料

  • 『教行信証』 親鸞 聖人
  • 『歎異抄』 唯円
  • 葬儀・法要に関するマナー本・専門家の著作
  • 浄土真宗本願寺派・真宗大谷派 公式情報
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