喪主・遺族・親族などの呼称・位置づけ

葬儀や法要を行う際、「喪主」「遺族」「親族」といった呼称が登場しますが、それぞれがどんな役割や立場なのか、いざというときに正確に把握できていない方も多いかもしれません。
本記事では、葬儀に関わる呼称や役割の基礎知識を整理するとともに、浄土真宗の「他力本願」という考えを踏まえた心構えについても触れていきます。

目次

1. 喪主(もしゅ)とは

「喪主」は、葬儀の主催者として位置づけられる人物のことです。
一般的には、故人の配偶者長男・長女が務めることが多いですが、以下のようなケースも考えられます:

  • 配偶者が高齢や体調不良で務めるのが難しい場合、子や孫が喪主を担当
  • 子どもがいない場合や遠方在住の場合、兄弟姉妹甥・姪が喪主となることも

喪主は、葬儀社や僧侶との打ち合わせや、参列者への対応など多岐にわたる役割を担います。
浄土真宗の立場では、「人は阿弥陀如来の本願によって往生が定まる」と考えるため、喪主が故人を成仏させるというわけではありません。あくまで葬儀全体を取り仕切る代表者として、故人への感謝や家族の気持ちを形にする役割を果たします。

2. 遺族と親族の違い

よく混同されやすいのが「遺族」「親族」という呼称。

  • 遺族: 故人の配偶者・子・親など、故人と直接的な家族関係にある人々を指す
  • 親族: 故人の兄弟姉妹やおじ・おば、いとこなど、広い血縁関係の範囲

つまり、遺族は故人の直系家族親族は故人の家系に属する人々とざっくり考えると分かりやすいです。
葬儀の実務面では、遺族が中心となり、親族がサポートするという位置づけが多いでしょう。

3. 施主(せしゅ)とは?

施主」とは、費用を出す人という意味があり、葬儀・法要の経済的負担を担当する人物を指します。

  • 喪主と施主が同一人物の場合がほとんど
  • まれに、親族の誰かが費用を負担し、別の家族が喪主を務めることもある

施主は、お布施葬儀費用などを支払う役割が大きいため、会計管理香典の受け取りなどを任される場合が多いです。

4. 浄土真宗の「他力本願」と役割分担

葬儀には喪主や遺族、親族など、さまざまな役割がありますが、「自分がすべてを完璧にしなくてはいけない」というプレッシャーを感じる方も多いでしょう。
そこで、他力本願の考え方を思い出すと、以下のような心がけが生まれます:

  • 1. 周囲の力を借りる
    – 喪主が一人で抱え込まず、親族や葬儀社のスタッフなどのサポートを積極的に受け入れる。
    – 「家族みんなで支え合う」ことが大切。
  • 2. 故人への思いを共有
    – 遺族や親族がそれぞれの思い出を話し合い、故人への感謝の気持ちを共有する場にする。
    – 「仏の光の中で故人はすでに救われている」という安心感をもって、心穏やかに式を進める。

5. 呼称の位置づけまとめ

葬儀や法要で使われる「喪主」「遺族」「親族」「施主」という呼称は、それぞれ以下の意味を持ちます:

呼称 立場 役割
喪主 故人と最も近い家族 葬儀全体の代表。
寺院や葬儀社と打ち合わせ、参列者対応など
遺族 故人の配偶者、子、親など直系家族 喪主を中心に葬儀の実務を担い、
参列者対応や準備をサポート
親族 兄弟姉妹、叔父叔母、いとこなど
血縁のある家系
必要に応じて喪主や遺族を補佐。
式の進行をサポート
施主 費用を出す人
(喪主と同一が多い)
お布施や葬儀費用、会場費などの
金銭管理

まとめ:呼称を正しく理解し、他力本願で協力し合う

  • 喪主: 葬儀の代表者。大変な役回りだが、家族や葬儀社の力を借りて進める。
  • 遺族・親族: 故人と血縁関係のある家族。
    喪主を中心に協力し、葬儀全体を支える。
  • 施主: 費用を負担する人。
    喪主と同一の場合が多いが、別の人が負担するケースも。
  • 他力本願: 「みんなで支え合い、仏の力に守られている」という安心感。
    過度に「自分だけで完璧にやらなきゃ」と思わず、周囲のサポートを積極的に受け入れる。

葬儀の現場では、喪主遺族親族などそれぞれの役割が連動して強いチームワークが必要になります。浄土真宗の「他力本願」の考え方を取り入れれば、「すべてを背負い込まなくていい」という安心感を得られ、故人への感謝と敬意を保ちながら式をスムーズに進めることができるでしょう。

参考資料

  • 『教行信証』 親鸞 聖人
  • 『歎異抄』 唯円 著
  • 各宗派の葬儀マナー本、葬儀社の公式ガイド
  • 浄土真宗本願寺派・真宗大谷派 公式情報
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