仏具店と葬儀社の役割分担

葬儀に関わる際、仏具店葬儀社がそれぞれどのような役割を果たすのか、明確に分かっていない方も多いかもしれません。葬儀が進む中で、それぞれの業者が提供するサービスや担当する範囲を理解しておくと、スムーズに進行でき、不安なく準備を進めることができます。
本記事では、仏具店葬儀社の役割分担について解説し、どのようなサービスを期待できるか、またそれぞれの役割の違いを明確にします。

目次

1. 仏具店の役割

仏具店は、主に仏教に関連する道具や備品を提供する業者です。葬儀の際に必要な仏具を取り扱い、購入やレンタルを通じてサポートを行います。具体的には以下のような役割があります:

  • 仏壇・仏具の販売
    – 故人を偲び、法要や日常のお参りで使用する仏壇や仏具(お位牌、数珠、香炉、花立など)を販売します。
  • 葬儀用の仏具の貸し出し
    – 葬儀に必要な仏具一式(お経本、香炉、ろうそく立てなど)の貸し出しを行います。
    – これらの仏具は、一時的に使用するためのものとして提供されます。
  • 位牌・法名の手配
    – 故人の法名を記入した位牌を準備するための手配を行います。
    – 仏具店が直接行う場合もあれば、寺院との連携で手配することもあります。
  • その他仏教関連用品の販売
    – 線香、ろうそく、供物など、葬儀や法要に必要な小物を取り扱うこともあります。

仏具店は、葬儀のための準備や供養のための道具を整える専門家です。葬儀社と連携し、必要な仏具を整えますが、葬儀そのものの運営は担当しない点がポイントです。

2. 葬儀社の役割

一方で、葬儀社は、葬儀全体の運営を担当します。葬儀の準備から進行、終了までを統括する役割を果たし、遺族の負担を軽減するために多岐にわたるサービスを提供します。具体的には、以下のような役割があります:

  • 葬儀の手配
    – 葬儀の形式や規模を決定し、式場の手配、参列者の案内、司会進行など、葬儀全体の運営を行います。
  • 死後の手続きのサポート
    – 役所への死亡届の提出、埋葬許可証の取得など、行政手続きのサポートを行うことがあります。
  • 遺体の搬送
    – 故人を葬儀会場や自宅から火葬場への搬送を手配します。
  • 会食の準備
    – 精進落としや葬儀後の会食(食事)の手配を行います。
  • 喪服や葬儀に必要な衣類の手配
    – 喪服の手配や貸し出し、参列者の衣装手配などもサポートします。
  • 葬儀後のアフターケア
    – 香典返しや会葬御礼、納骨の手配など、葬儀後のサポートを行います。

葬儀社は、故人の送り出しという重要な役割を担い、葬儀に関するすべての手続きを効率よく進めます。家族の意向を汲み取りながら、式の規模や内容を決定し、実際に運営する役割を果たします。

3. 仏具店と葬儀社の連携

仏具店と葬儀社は、互いに異なる役割を担いながらも、葬儀という大きなプロセスにおいて密に連携します。具体的には、

  • 仏具の調達と式の進行
    – 例えば、葬儀社が決めた日程に合わせて仏具店が必要な仏具を準備します。仏壇に安置するものや香炉など、葬儀社が提供するサービスに合わせて供物を整えます。
  • 葬儀社と仏具店の共同作業
    – 参列者への案内や香典返しの準備を仏具店と葬儀社が協力して行うこともあります。
    – 特に葬儀社が仏壇の手配を仏具店に依頼するケースが多く、互いの役割分担が重要です。

4. 浄土真宗の「他力本願」と仏具の考え方

浄土真宗では、仏具自体に霊力が宿るわけではなく、仏具は単に仏法を聞き、念仏を称えるための道具として位置付けられています。
そのため、仏具に対する過度な執着や信仰心を持つことはないものの、仏壇や仏具は仏の教えを日々学ぶための大切な「道具」として尊重されます。
浄土真宗の「他力本願」を意識することで、仏具を「道具として使う」という感覚を大切にし、過度な霊的な意味付けを避けることができます。仏具店や葬儀社が提供するサービスも、あくまで家族の供養の心を支える役割として捉えることが大切です。

5. 仏具店と葬儀社の選び方

仏具店と葬儀社は、どちらも葬儀の際には重要な役割を担う業者です。選ぶ際には、以下のポイントを参考にすると良いでしょう:

  • 信頼できる業者: 口コミや評価を参考に、信頼のおける業者を選ぶ。
    葬儀の進行や仏具の取り扱いに慣れたスタッフがいる業者が理想です。
  • 希望に合わせたプランの提供: 自分の希望する葬儀の形式に対応できる業者を選ぶ。
    特に、仏具や香典返し、会葬御礼など、家族のニーズに柔軟に対応してくれる業者を選びましょう。
  • 価格の透明性: 費用が明確で、追加料金が発生しない業者を選ぶ。
    葬儀や仏具購入にはさまざまな費用がかかるため、事前に見積もりを確認しておくことが重要です。

まとめ:仏具店と葬儀社の協力でスムーズな葬儀

  • 仏具店: 仏具や仏壇の販売・貸し出し、位牌の手配などを行う。
  • 葬儀社: 葬儀全体の進行や手続き、会葬者の対応を担当。
  • 連携の重要性: 両者が協力することで、葬儀の準備が円滑に進む。
  • 浄土真宗の視点: 仏具は仏法を学ぶ道具として尊重され、物への過度な執着を避ける。

仏具店と葬儀社は、それぞれ異なる役割を持ちながらも密に連携することで、葬儀全体を支えています。浄土真宗の教えに基づき、心を込めて供養を行うことを重視しながら、信頼できる業者を選んで、葬儀をスムーズに進めていくことが大切です。

参考資料

  • 『教行信証』 親鸞 聖人
  • 『歎異抄』 唯円 著
  • 葬儀業界のガイドライン・仏具店の選び方に関する書籍
  • 浄土真宗本願寺派・真宗大谷派 公式情報
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