葬儀にまつわる用語として、「弔電(ちょうでん)・供電(くでん)」や、「供花(きょうか)・供物(くもつ)」という言葉を耳にすることがあります。
これらは、故人への追悼や遺族へのお悔やみの気持ちを伝えるための手段ですが、実際にどのように手配すればよいのか迷う方も多いかもしれません。
本記事では、「弔電・供電」と「供花・供物」の違いや手配方法のポイント、そして浄土真宗の考え方を踏まえた注意点を解説します。
1. 弔電・供電とは?
「弔電(ちょうでん)」は、葬儀に参列できない人や遠方にいる人が、電報でお悔やみのメッセージを送ることを指します。NTTや民間の電報サービスを利用し、文面を指定して葬儀会場や遺族の自宅に届けるのが一般的です。
一方で、「供電(くでん)」という言葉は、電報による弔意と併せて、香典相当の金額を遺族へ届ける意味合いを持つことがあります。
しかし、現代では「弔電=供電」と捉えられることも多く、単に弔電と呼ぶケースが一般的です。
- 用途: 参列が難しい場合、お悔やみの言葉を伝える
- 手配方法: 電報サービス(電話・Web)を通じて手配する
- タイミング: 葬儀当日か、遅くとも告別式までに届くように送る
2. 供花(きょうか)・供物(くもつ)とは?
「供花(くげ、きょうか)」は、葬儀や法要の際に花を贈ることで、故人への弔意や供養を示す習慣です。
「供物(くもつ)」は、花以外の品(果物・お菓子・線香など)を故人へ供える形で届ける行為を指します。
- 用途: 弔問客が故人への敬意と追悼を形にするため、花や品物を葬儀場へ届ける
- 手配方法: 花屋や葬儀社の仲介で、式場への配達を依頼する。
供物(果物や菓子)は、指定店に注文して式場へ届ける場合も多い - 表書き: 「御供」「御供花」「御供物」などと書かれた札を付ける
- 挿し札(立札): 遺族や参列者が名前を記入し、花のスタンドや籠に立てる
3. 用途別の贈り方と相場
弔電や供花・供物を贈る際、どのくらいの費用をかければよいのか、いつ贈れば最適かなどを下記にまとめます。
品目 | 相場 | タイミング | 備考 |
---|---|---|---|
弔電(供電) | 1,000~5,000円程度(文面や台紙の豪華さにより異なる) | 葬儀当日か前日までに式場・遺族宅へ届くように | 供電として 金品を同封する場合あり |
供花 | 5,000~15,000円程度(一基あたり) | 葬儀前日までに式場へ。 式当日午前着が望ましい |
立札に名前を記入。 葬儀社や花屋へ連絡 |
供物 | 5,000~10,000円程度 (果物籠・菓子籠など) |
式場や遺族の都合を聞き、 式前日~当日に届くよう手配 |
立札や表書きに 「御供」などを付ける |
4. 浄土真宗の視点:お悔やみを表す手段として
浄土真宗では、「故人は亡くなった瞬間に阿弥陀如来の本願によって往生が定まる」という考えがあり、花や品物が故人の成仏を助けるわけではないと捉えられます。
しかし、弔電や供花・供物は、遺族とのつながりや故人への敬意を形にする重要な手段です。
- 「私たちはあなたや故人を想っています」という気持ちを伝える
- 宗派の違いがあっても、周囲と故人を支え合う姿勢を示す
こうした思いやりは、他力本願の発想――人は周囲や仏の力に支えられている――にも通じるものと言えます。
5. 手配時の注意点
弔電や供花・供物を贈る場合、以下の点に注意するとスムーズです:
- 事前に遺族や葬儀社へ連絡
– 花や供物を受け取るスペースがあるか、受取時間は問題ないかを確認 - 宗派や会場のルール
– スタンド花がOKか、生花か造花どちらが好ましいかなどを調べる - 文面に注意
– 弔電の文面は慣用句を踏まえながら、故人への想いを簡潔に書く
– 「忌み言葉」を避ける(重ね言葉など) - 到着タイミング
– 式当日または前日までに届くよう設定。
– 遅すぎると式に間に合わない
まとめ:弔電・供花・供物は故人と遺族への思いやりを形に
- 弔電(供電): 遠方や多忙で参列できないときに、お悔やみを電報やメッセージで届ける。
- 供花・供物: 花や果物、お菓子などを式場へ贈り、故人への敬意を示す。
- 相場と時期: 弔電は1,000~5,000円程度、供花は5,000~15,000円程度が目安。
式当日や前日までに届くよう手配。 - 他力本願: こうした贈り物自体が成仏を左右するわけではない。
遺族を支える気持ちを形にして、敬意と共感を示す意義が大きい。
「弔電・供電」「供花・供物」はいずれも故人と遺族への想いを具体的に表す手段です。
浄土真宗の考え方では、「亡くなった方の成仏」は阿弥陀如来の本願によってすでに定まるため、これらの贈り物が直接成仏を助けるわけではありません。しかし、お互いを支え合う姿勢は他力本願にも通じ、家族や友人が悲しみを分かち合う大切な行為となるのです。
遺族の負担を少しでも軽くし、共に故人を偲ぶ気持ちを形にできるよう、タイミングや文面を整えて贈り物を届けてみてください。
参考文献
- 『教行信証』 親鸞 聖人
- 『歎異抄』 唯円
- 葬儀マナー・電報サービスに関する実用書
- 浄土真宗本願寺派・真宗大谷派 公式情報