東本願寺と西本願寺をハシゴ参拝してみた

目次

はじめに

京都の本願寺といえば、浄土真宗における二大本山――俗に「お東」と「お西」と呼ばれる東本願寺(真宗大谷派)と西本願寺(浄土真宗本願寺派)を思い浮かべる方も多いかもしれません。両者は同じ親鸞聖人を開祖としながら、歴史的経緯や教団運営の違いがあって、本山も別々に存在しています。京都駅から比較的近い場所に位置しているため、徒歩や市バスを利用すれば、1日で両方を「ハシゴ」して参拝することが可能です。
今回、私自身が実際に東本願寺と西本願寺をハシゴ参拝してみたところ、建物の雰囲気や教義の展示、歴史的背景など、それぞれに興味深い発見がありました。本稿では、その体験を通じて感じた両本願寺の魅力と違い、そして現代人がここから得られる学びをお伝えしたいと思います。


1. 東本願寺へ:広々とした境内と圧倒的な御影堂

1-1. 京都駅からのアクセスと第一印象

まずは東本願寺(真宗大谷派)からスタートしました。京都駅烏丸口から徒歩約10分ほどで、突如として広大な境内が姿を現します。大きな正門をくぐると、「御影堂」や「阿弥陀堂」などの重厚な木造建築が目に飛び込んできて、そのスケールに圧倒されました。
自分の背後には都会のビル群が控えているはずなのに、東本願寺の敷地に足を踏み入れると別世界に来たような静かさが広がっており、観光客もちらほら見かけました。

1-2. 御影堂での参拝と御廟所

東本願寺の一番の見所は、やはり御影堂(ごえいどう)。ここには宗祖・親鸞聖人の御真影(肖像)が安置されており、その前で多くの参拝者が手を合わせ、「南無阿弥陀仏」と念仏を称えていました。
堂内は畳敷きで広々としており、中央付近に腰を下ろして目を閉じると、静かに流れる読経や他の参拝者の合掌の姿が見え、なんともいえない安らぎを感じることができます。奥には「御廟所」があり、親鸞聖人のご遺骨が納められていると案内がありました。

1-3. 庭園や展示スペース

東本願寺の境内には、庭園展示スペースもあり、浄土真宗の歴史や教義を紹介するパネルが設置されていました。「悪人正機って何?」「他力本願ってどういう意味?」など、初歩的な疑問を分かりやすく解説しているので、仏教初心者でも興味を引かれる内容だと思います。
ひととおり散策を終えた後、私は「同じ浄土真宗でも、ここは真宗大谷派の総本山なんだな」という実感を得て、次はいよいよ西本願寺(本願寺派)へ向かうことにしました。


2. 西本願寺へ:重厚さと歴史を感じる別世界

2-1. 移動と所要時間

東本願寺から西本願寺までは、歩くと15~20分ほど。私はゆったり街並みを楽しみながら移動しましたが、時間がなければ市バスやタクシーを利用してもいいでしょう。同じ「本願寺」という名前がついているだけあって、どこか共通点があるのかと思いきや、到着すると「お東とは違う歴史的重厚感」が漂っているのを感じました。

2-2. 御影堂と阿弥陀堂の違い

西本願寺の境内に入ると、こちらにも御影堂阿弥陀堂といった大きな堂宇があり、国宝重要文化財に指定されている建築も多く、観光客が目立ちます。内部の配置や装飾は東本願寺とはやや異なる雰囲気で、金箔を多用したきらびやかさが印象的でした。
参拝の作法やお勤めの流れは基本的には共通する部分が多いですが、堂内の案内や掲示の言い回しなどには微妙な違いがあるようで、「こちらは本願寺派なんだ」と肌で感じられます。

2-3. 大谷本廟との位置関係は?

浄土真宗本願寺派の総本山が「西本願寺」、真宗大谷派の総本山が「東本願寺」――その歴史的経緯や分裂の背景は複雑ですが、ざっくり言えば「お東」と「お西」という形でそれぞれの教団が発展してきました。
一方、真宗大谷派は「大谷本廟」という親鸞聖人の墓所も持っており、これが東本願寺周辺にあるのと同様に、西本願寺側にも歴史ゆかりの各施設があります。今回のハシゴ参拝では時間の都合で大谷本廟には行きませんでしたが、興味がある方はそこまで足を伸ばしてみるのも面白いでしょう。


3. まとめて参拝して感じたこと

3-1. 同じ「浄土真宗」でも雰囲気の違い

今回のハシゴ参拝で一番感じたのは、「同じ浄土真宗」という大きな括りの中にあっても、東本願寺(お東)西本願寺(お西)では建築様式や堂内の雰囲気、拝観の流れなどに微妙に違いがあるということ。参拝客の人数や観光客向けの案内も異なり、お東は比較的落ち着いた印象、お西は歴史観光の要素が強い印象を受けました。
しかし、いずれにしても「阿弥陀仏の大いなる慈悲」を軸に、親鸞聖人の教えを大切にしている点は共通で、念仏を合掌する空気は同じく心を落ち着かせる力を持っていると感じます。

3-2. 京都駅周辺での観光プラスα

東本願寺と西本願寺は京都駅からいずれも歩いて行ける範囲にあり、京都観光の中でも強くおすすめしたいルートです。特に時間に余裕があれば、両方を回って異なる歴史的背景建築美教団運営の違いを比較するのも面白いでしょう。
私の場合、両寺院を半日で見て回った後、近くのカフェで一息つきながら「なぜ親鸞聖人の教えがこんなに人々を惹きつけるのか」、あるいは「他力本願」の考え方が現代にどう通じているのかを考えるひとときがとても充実していました。


4. ハシゴ参拝する際のポイント

4-1. 歩きやすい靴と余裕のあるスケジュール

東本願寺から西本願寺までの徒歩移動は人によっては少し距離があります。15~20分ほどかかることを見越して、歩きやすい靴を履いたり、京都の市バスタクシーを利用する計画を立てると良いでしょう。
また、両寺院とも内部に見どころが多く、御影堂阿弥陀堂をじっくり見学すると時間を要するので、あまりタイトなスケジュールにしないほうが楽しめます。

4-2. 文化財の確認やイベント情報

西本願寺は国宝重要文化財として指定されている建築物・庭園が多いので、見学時間や公開日程を事前に確認しておくと良いです。
東本願寺では時々、法話会写経会特別拝観などが開催されるので、興味があれば公式サイトやSNSをチェックしてタイミングを合わせるのもおすすめ。両方を一気に巡る際、イベント情報をうまく活用すると、さらに充実した参拝になるでしょう。


5. まとめ

東本願寺と西本願寺をハシゴ参拝してみた」という体験は、まさに京都ならではの魅力を凝縮した一日でした。同じ浄土真宗という教えを源流にしながら、それぞれが歩んできた歴史と雰囲気の違いを肌で感じると、親鸞聖人の影響力や教団の分派の奥深さに興味が湧きます。
さらに、両寺院の壮麗な建築や読経の響きに包まれながら、念仏他力本願について改めて思いを巡らせることは、自分の生き方を見つめ直すきっかけにもなりました。京都観光の際、「お東」「お西」を一度に訪れるのは、歴史・建築・宗教の視点でとても貴重な体験と言えるでしょう。まだ行ったことがない方は、ぜひ次回の京都旅行でハシゴ参拝を検討してみてはいかがでしょうか。

【参考文献・おすすめ情報】

  • 東本願寺(真宗大谷派)の公式サイト・SNS
  • 西本願寺(浄土真宗本願寺派)の公式サイト・SNS
  • 親鸞聖人 著 『教行信証』 各種現代語訳
  • 京都市観光協会の情報サイト(アクセスや周辺情報の収集に)

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