骨壺・収骨の方法と真宗での所作

目次

1. はじめに:収骨(骨上げ)とは何か

収骨(骨上げとも呼ばれる)とは、火葬後の遺骨を骨壺に納める一連の行為を指します。葬儀場や火葬場で行われることが多く、遺族にとっては故人を偲ぶ最後のステップといえます。
浄土真宗では、「亡くなった方は阿弥陀仏の本願によってすでに往生している」と考えるため、骨そのものに霊が宿るわけではありませんが、残された者が故人との繋がりを確かめる大切な時間として収骨を重視することがあります。本記事では、骨壺・収骨の方法真宗での所作に焦点を当てて解説します。

2. 骨壺とは

骨壺(こつつぼ)は、火葬後に遺骨を納める容器です。一般的に陶器や磁器で作られ、白色淡い色のものが多く使われます。
– **サイズ** : 地域や風習により全骨(全ての遺骨)を納める場合と、一部の主要な部位のみ納める場合で大きさが異なる。
– **素材・デザイン** : シンプルな白磁が一般的だが、最近ではカラフルな骨壺やオリジナルデザインも登場している。
浄土真宗では、骨壺そのものに対して特別な宗教的意味を持たせるわけではありませんが、念仏を称える場として丁寧に扱うことが大切です。

3. 収骨(骨上げ)の方法

火葬後の収骨には、地域や火葬場の習慣によって違いがありますが、一般的には以下の手順で進められます:

  1. 火葬後、遺骨の確認
    – 火葬場の係員が炉から遺骨を取り出し、故人の遺骨を丁寧に並べる。
  2. 遺族が骨を拾う
    – 箸や竹製のピンセットで遺骨をつまみ、骨壺に納める。
    – 地域により「足元の骨から拾う」「頭側から拾う」などの習わしがあるが、浄土真宗としては特定の霊的意味はなく、地域の習慣に従うことが多い。
  3. 主要な部位を納める
    – 全骨を納める地域もあれば、「のど仏」など特定の部位(故人の特徴的部位)を優先的に納めるケースもある。
    – 真宗的にはどの骨を拾っても往生に影響はないが、地域の習慣を尊重。
  4. 骨壺に蓋をする
    – 骨壺に納め終わったら、蓋をして布や袋で包む場合が多い。
    – 火葬場の係員が最終的に処理を行うこともある。

収骨の際、合掌念仏を称えることが一般的で、故人が阿弥陀仏の下で安らかであることを改めて確認する機会となります。

4. 浄土真宗での所作:他力本願に基づく姿勢

浄土真宗では、収骨そのものに霊的な呪術的意味は持たせませんが、以下の姿勢を大切にします:

  • 阿弥陀如来への感謝
    – 収骨の際、故人がすでに救われている事実(他力本願)を思い出し、合掌しながら念仏を称える。
  • 残された者の区切り
    – 収骨を通じて、遺族が故人との別れを実感しながら、往生への安心を深める。
  • 地域習慣への配慮
    – 細かい作法(箸渡しをしない、骨を拾う順番など)は地域ごとのしきたりに従い、無用な対立やトラブルを避ける。

5. 骨壺への納骨と後の流れ

収骨して骨壺に納めた遺骨は、通夜や葬儀が終了した後に自宅へ持ち帰る場合が多いです。その後の流れとしては:

  1. 安置
    – 自宅の仏間や専用スペースに安置し、四十九日百ヶ日などの節目に備える。
  2. 法要と納骨式
    – 四十九日(満中陰)法要や一周忌などで、お墓や納骨堂へ納骨する。
    – 浄土真宗の住職に依頼し、合掌・焼香を伴う儀式を行う。
  3. その後の供養
    – お墓に収めた後は、念仏を通じて故人とのご縁を深める。
    – お盆や彼岸などの機会に墓参りを続ける。

6. 骨上げのタイミングを逃した場合

一部の地域や状況では、葬儀を簡略化し、火葬後すぐに骨壺へ納めないケースもあるかもしれません。しかし、後で収骨すること自体は可能です。ただし、

  • 火葬場の保管期間があり、期限を過ぎると処分されてしまう恐れがある。
  • 早めに火葬場や葬儀社に連絡し、受け取り方法を確認する。

浄土真宗の教えでは、遺骨の有無が往生に影響するわけではありませんが、家族が供養を続けやすい形で早めの対応が望ましいでしょう。

7. まとめ:骨壺・収骨の方法と真宗の所作

収骨(骨上げ)は、故人を偲びながら遺骨を骨壺に納める大切な儀式です。
– **骨壺**: 一般的に白色や淡い色で作られた陶器・磁器製。
– **収骨手順**: 火葬場で遺骨を丁寧に拾い、主要な部位や全骨を納める。地域の習慣によって作法が異なる。
– **真宗の姿勢**: 既に阿弥陀如来の力によって往生しているため、霊的な意味よりも家族の区切りとしての意義が強い。合掌や念仏で故人との絆を再確認。
収骨後は、納骨のタイミング(49日・百ヶ日・一周忌など)に合わせて法要を行い、念仏を称え続けることで故人への感謝と繋がりを保つ。
これが浄土真宗における「骨壺・収骨」の基本的な捉え方と言えるでしょう。

参考資料

  • 『教行信証』 親鸞 聖人 著
  • 『歎異抄』 唯円 著
  • 火葬場・葬儀社への聞き取り調査
  • 浄土真宗本願寺派・真宗大谷派 公式サイト
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