はじめに
大切な故人やペットの遺骨を、いつでも身近に感じていたいという気持ちから、手元供養を選ぶ方が増えています。
手元供養とは、遺骨の一部を納めたミニ骨壺やアクセサリーを用いて、故人を偲びつつ日常生活を送る供養スタイルのことです。
本記事では、手元供養で使用されるミニ骨壺やアクセサリーの種類や選び方、浄土真宗的視点での考え方を解説します。
1. 手元供養とは?
従来の墓や納骨堂に遺骨をすべて納める方法に対し、「一部の遺骨を手元に残す」ことで、いつでも故人を身近に感じることができるスタイルが手元供養です。
- 背景:
- お墓から遠方に住んでいてなかなかお参りできない、あるいはお墓を持たない選択をする家庭も増加。
- 「遺骨の一部を分骨してミニ骨壺で保管する」「アクセサリーにして身につける」などの多様な形が広まりつつあります。
- 人間・ペット両方で普及:
- 近年、ペットロスのケアとしても手元供養が注目されており、ペット専用のミニ骨壺やアクセサリーが多数販売されています。
2. ミニ骨壺の種類と選び方
ミニ骨壺とは、遺骨の一部を納める小型の容器のことです。陶器製や金属製、ガラス製などさまざまな素材やデザインがあります。
- 素材で選ぶ:
- 陶器製:温もりを感じられるデザインが多く、和風の雰囲気に合う。
- 金属製:ステンレスや真鍮など、耐久性に優れ、シンプルかつモダンな印象。
- ガラス製:透き通った美しさがあり、遺骨をほんのり見せるタイプもある。
- 大きさ:
- 大きさは数センチほどのものが主流。遺骨をどれだけ保管したいかによってサイズを選ぶ。
- 少量だけ納められる極小サイズもあるので、複数個用意し、家族それぞれが持つという選択も。
- デザイン:
- 和風から洋風、可愛らしいものからシンプルなものまで幅広い。自宅のインテリアや自身の好みに合わせて選ぶとよい。
- ペット向けには動物モチーフが施された商品も多い。
3. 遺骨アクセサリーの種類と注意点
アクセサリー型の手元供養では、ネックレスやブレスレット、リングなどに遺骨を封入し、身につける形が一般的です。
- 主なタイプ:
- ペンダント:内部に小さなスペースがあり、遺骨を少量納めることが可能。
- 指輪(リング):指輪の石の部分や内側に遺骨を埋め込むタイプなど、デザインが多岐にわたる。
- ブレスレット:ビーズやチャームの一部に遺骨を封入するケースもある。
- 注意点:
- アクセサリーは日常的に身につけるため、**耐久性**や**防水性**を確認する。
- なくしたり壊したりすると取り返しがつかないため、管理に注意が必要。
- 人前で説明しづらいシーンもあるので、身内だけが分かるデザインを選ぶ配慮も考えられる。
4. 浄土真宗的な考え方:遺骨への執着と念仏
浄土真宗では、故人が阿弥陀仏の本願によって往生していると考え、遺骨自体を魂の宿るものとは見なさないとされます。
ただし、形見として遺骨を大切にすることを否定するわけではないため、手元供養も**家族が故人を偲ぶ一つの形**として尊重されやすいです。
- 執着を過度にしない:
- 念仏を通じて、**「故人はすでに救われている」**という安心感を持ちながら、遺骨への執着を和らげる。
- 手元供養が心の支えになる一方、それだけに囚われすぎないことが大切。
- 念仏で偲ぶ:
- ミニ骨壺やアクセサリーを手に、「南無阿弥陀仏」と唱えて故人を偲ぶことで、**気持ちの整理**や**慰め**を得られる。
5. まとめ
手元供養としてのミニ骨壺やアクセサリーは、故人(ペット)を常に身近に感じるための新しい供養の形です。
– **選び方**:素材・サイズ・デザイン・費用を検討し、自分や家族の好み、インテリアに合ったものを選ぶ。
– **浄土真宗の考え方**:「遺骨には魂は宿らない」としつつも、**故人を偲ぶ形としての手元供養**を否定しない。**念仏**と合わせて、執着を和らげつつ感謝を表す。
– **管理や取扱い**:アクセサリーは紛失や破損に注意し、ミニ骨壺は清潔さを保つよう心がける。
このように、手元供養のアイテムを通じて遺骨をそばに置きながら、阿弥陀仏の光の中で故人を偲ぶことは、**心を穏やかに保つ**良い方法のひとつと言えるでしょう。
参考資料
- 手元供養関連の通販サイト・ショップ
- 浄土真宗本願寺派 公式サイト
- 真宗大谷派(東本願寺) 公式サイト
- 本願寺出版社『正信偈のこころ』