不動産・預貯金・有価証券の分割例

目次

はじめに

相続では、不動産や預貯金、有価証券などの異なる種類の財産を、どのように分けるかが大きな課題になります。
特に、不動産は現金化が難しいことが多く、有価証券は相場変動があるなど、それぞれの特徴によって分割の方法遺産分割協議の進め方が変わります。
本記事では、不動産・預貯金・有価証券の分割例を、浄土真宗の視点から見た財産への執着を超える考え方も交えつつ解説します。

1. 不動産の分割例

不動産は、相続対象となる財産の中でも大きな割合を占めることが多いものです。しかし、分割しづらい特性から共有換価などの手段が検討されます。

  • 共有で相続
    • 親の家を兄弟で共有するケース。
      メリット:売却せずに残せる。
      デメリット:将来、使用や修繕方針で意見が合わずトラブルが起きる可能性。
  • 換価分割(売却して現金化)
    • 不動産を売却し、現金を兄弟姉妹で分配する。
      メリット:公平に分けやすい。
      デメリット:思い出の家を手放すことに抵抗感がある場合も。
  • 代償分割
    • ある相続人が不動産を単独取得し、他の相続人へ代償金を支払う。
      メリット:共有リスクを避けられる。
      デメリット:買い取る側にまとまった資金が必要。

2. 預貯金の分割例

預貯金は、不動産に比べて分割しやすい財産ですが、金額が大きい場合や、口座が複数にわたる場合もあるため、注意が必要です。

  • 相続人ごとの按分
    • 預金口座をそのまま解約し、得た現金を法定相続分遺言書の指定割合に従って分配する方法。
      シンプルでわかりやすい。
  • 複数口座を使って調整
    • 複数の口座がある場合、口座Aは長男口座Bは長女に渡すなど、**口座単位**で分割する。
      総額の**バランス**に留意する必要がある。
  • 銀行の凍結解除
    • 預金を分割するには、名義人死亡後に銀行が口座を凍結し、一時的に引き出せなくなることに注意。
      凍結解除には戸籍謄本など相続人確認書類が必要。

3. 有価証券の分割例

有価証券(株式や投資信託など)は、相場変動があり、その扱いが難しい財産の一つです。

  • 株式の単位株分割
    • 株式を単元ごとに相続人へ分配する。
      メリット:単位株単位で比較的分割しやすい。
      デメリット:銘柄によって単元数が異なるため、完全に平等にはなりづらい。
  • 売却して現金化
    • 株式や投信を一旦売却してから、得た売却益を分割する。
      メリット:分配が楽。
      デメリット:売却タイミングで相場が下落していると**想定より少なく**なる恐れ。
  • 相続人の投資意欲
    • 継続保有を望む相続人もいれば、売却を望む相続人もいる。
      ここで意見が食い違うとトラブルの原因に。
      事前に**どのように扱ってほしいか**遺言書で明示することも有効。

4. 浄土真宗的視点:財産を超えた「和合」の考え方

いずれの財産も、**家族間の協力**や**合意**がなければ円満に分割できません。
浄土真宗では、他力本願の考え方を通じて、「財産は絶対的なものではなく、縁によって得たもの」という見方ができます。

  • 念仏で煩悩を客観視
    • 不動産やお金に対する欲(貪)怒り(瞋)を「南無阿弥陀仏」の念仏を唱えて**客観的にとらえ**、**執着を和らげる**機会にする。
  • 自他ともに助け合う心
    • 「財産は自分の努力だけでなく、多くの縁によって与えられたもの」と認識すれば、家族と分かち合う姿勢が高まりやすい。

5. まとめ

不動産・預貯金・有価証券といった異なる種類の財産には、それぞれ分割の難しさ相場変動感情の相違が絡むため、計画的な対応が必要です。
– 不動産は共有換価分割代償分割など複数の手段を検討し、家族の意向と整合をとる。
– 預貯金は分割しやすい反面、銀行の凍結解除や兄弟間の公平感を念頭に進める。
– 有価証券は相場変動や継続保有の意思が相続人で異なる場合に注意。
これらを話し合う際、浄土真宗の教えを参考にし、**念仏**を通じて**財産への執着**を和らげることは、円満な相続を目指すうえで大きな助けとなります。

参考資料

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