看取りの際に家族が心がけること

はじめに

家族が最期の時を迎える場面では、看取る側がどう行動し、どのような心構えで臨むかが、とても大切になってきます。
特に、浄土真宗の教えを背景に持つ方にとっては、阿弥陀仏の本願や念仏をどのように活かすかが大きなポイントとなるでしょう。
本記事では、看取りの際に家族が心がけることをテーマに、具体的な準備や浄土真宗的な視点を交えて解説します。

1. 看取りの準備：心と環境を整える

看取りを迎える前に、家族ができる準備には心の準備と環境の準備があります。どちらも、本人が安心して最期を迎えるために重要です。

• 医療・介護側との連携：
  • 病院や施設であれば、担当医や看護師、ケアマネージャーとの情報共有をしっかり行い、どのような状態なのか、どんなケアが必要なのかを把握。
  • 在宅の場合は、在宅医療や訪問看護のサポートを受ける体制を整える。
• 家族間での合意形成：
  • きょうだい間などで、延命治療の方針や臨終後の対応を事前に話し合い、**意見の相違**を整理する。
• 心の準備：
  • 「死」は避けられない事実と受け止めつつ、阿弥陀仏のもとで救われるという浄土真宗の視点を持つことで、不安を和らげる。

2. 看取りの際に家族ができること

実際に最期の時を迎えたとき、家族がどんなサポートをすればよいでしょうか。以下のポイントを押さえておくと、穏やかな看取りを助けます。

• 声かけとスキンシップ：
  • 意識が薄れていても、優しく声をかける、手を握るなどのスキンシップが安心感を与える。
  • 「ありがとう」「お疲れさま」といった感謝や労いの言葉を意識的に伝える。
• 念仏・読経の活用：
  • 「南無阿弥陀仏」と念仏をゆっくり唱えることで、**空間を落ち着かせる**。
    僧侶に読経をお願いしてもよいが、本人や家族の意向を確認してから。
• 無理な介入をしない：
  • 苦しそうに見えても、強引に姿勢を変えたり、大量の声かけは逆にストレスになることも。
    医療スタッフの助言を受けながら、**適度なケア**を心がける。

3. 浄土真宗的視点：往生の瞬間をどう迎えるか

浄土真宗では、「命が終わる瞬間」を「阿弥陀仏の本願により浄土へ往生する時」と捉えます。
これは看取りの場面に大きな安心と救いをもたらす考え方です。

• 阿弥陀仏への信頼：
  • 「自分が救われるか」「どう往生するのか」といった不安を、**阿弥陀仏への信頼**に置き換えることで、**人と仏**が共にある安心感を得られる。
• 最後まで「南無阿弥陀仏」：
  • 意識が途切れそうになっても、周囲が「なんまんだぶ」と唱え続けることで、**心の拠り所**を失わずにいられる。

4. 看取り後のサポートとグリーフケア

看取りが終わっても、家族の心のケアは続きます。
浄土真宗の法要や読経、念仏は亡くなった方だけでなく、残された家族にとっても慰めと再出発の力となるでしょう。

• 法要の意義：
  • 四十九日や一周忌などの法要は、**故人と仏との縁**を再確認しつつ、**家族の悲しみ**を少しずつ癒やす機会。
• 僧侶や支援者との対話：
  • グリーフケアとして、僧侶やカウンセラーに思いを打ち明け、**念仏**を通じた心の整理を行う人も増えている。

5. まとめ

看取りの際に家族が心がけることとして、以下のポイントが挙げられます。
– **適切な医療・介護**の連携を図りながら、本人の心地よさを最優先に。
– **念仏**や**読経**を通じて阿弥陀仏の光を感じられる空気を作り、**家族も共に落ち着きを得る**。
– **無理な介入**や声かけ過多を避け、**優しく見守る**姿勢を保つ。
– **看取り後**も法要やグリーフケアを活用して、**悲しみ**を少しずつ癒やし、故人との縁を大切にする。
こうした実践によって、**浄土真宗の教え**にある他力本願やお念仏が大きな支えとなり、**安らぎのある看取り**を実現できるでしょう。

参考資料

• 看取りに関する介護・医療の専門書、在宅ホスピスケアのガイド
• 浄土真宗の「往生観」や「念仏」についての解説書、僧侶の著作
• 浄土真宗本願寺派 公式サイト
• 真宗大谷派（東本願寺） 公式サイト