家の構造や間取りを大きく変更する「大規模リフォーム」は、一度決意すると時間や費用が大きくかかる作業です。
ところが、リフォームの進行中に「想像以上に物が多くて作業が進まない」とか「部屋に置いていた物の置き場がない」など、予想外のトラブルが起きることもしばしば。
実は、大規模リフォームの前に生前整理を進めておけば、こうした混乱を大幅に減らすことができます。本記事では、大規模リフォーム前の生前整理がもたらす利点と、浄土真宗の「他力本願」を踏まえた心の持ち方について解説します。
1. なぜ大規模リフォーム前に生前整理をするのか
リフォームに取りかかる際、住宅内の物を一時移動する必要があります。ここで大量の不要品が混在していると、以下のような問題が発生しがちです。
- 1. 作業スペースが確保できない
– リフォームを行う部屋が、荷物でいっぱいだと職人さんが動きづらい。工期も伸びやすい。 - 2. 思わぬ費用増
– 「この家具は移動しておきましょう」といった追加作業が増えると、人件費や時間が余分にかかる。
– 物が多い場合、仮置きスペースのレンタル費用などもかさむ。 - 3. 完成後に荷物を戻した際の混乱
– リフォーム後の部屋に、再び不要な物がそのまま戻ると結局整理されない。
– 新しい空間が埋まってしまい、リフォームのメリットが半減。
こうした問題を回避するためにも、不要品の整理と必要な物の仕分けをリフォーム前に行う生前整理が非常に役立つのです。
2. 生前整理がもたらすリフォームへのメリット
ここで言う「生前整理」とは、家中の物を一度見直し、必要・不要を仕分けして、将来の介護や相続などを見据えた片付けを進めること。特に大規模リフォームの前に行うと、次のような利点があります。
- 1. 作業スペースの確保
– 不要品を事前に処分すれば、リフォーム時の作業がスムーズになり、職人さんも動きやすい。
– 家具や雑貨を減らしておけば、工期の短縮や費用削減にもつながりやすい。 - 2. 完成後の住空間がスッキリ
– リフォーム完了後に、不要な物が再び持ち込まれないため、新しい空間を保ちやすい。
– 家具の配置や収納設計も、本当に必要な物だけを基準に考えられる。 - 3. 心の整理が同時に進む
– 生前整理を通じて、思い出の品をゆっくり仕分けしておけば、リフォーム中の慌ただしい時期に感情的な衝突が起きづらい。
– さらに、死後の準備や相続の話題も自然に進めやすくなる。
3. 浄土真宗の「他力本願」がもたらす安心感
大規模リフォーム前の生前整理は、時間と労力がかかるプロセスです。そこで、浄土真宗の「他力本願」を意識することで、完璧主義や独りよがりから解放され、家族や専門家と協力しながら穏やかに進めることができます。
- 1. 焦らず少しずつ
– 「すべての物を一度に片付けよう」とするのではなく、部屋ごと、カテゴリーごとなど小さなステップで取り組む。
– 「仏の力に守られている」という安心感があれば、焦りやイライラが緩和。 - 2. 家族の力を借りる
– 他力本願は、家族や周囲の力を借りることを前向きに捉える発想。
– 親子や兄弟が協力して「いる・いらない」を仕分けすることで、重荷を背負わずに済む。 - 3. 物への感謝を忘れない
– 長年使った家具や思い出の品を処分するときは、「今までありがとう」と心の中で合掌し、罪悪感を和らげる。
– 浄土真宗の立場からは「物に魂が宿る」とは考えないが、感謝の念を示すことで気持ちがスッキリ。
4. 具体的な実践例
たとえば、Mさん一家が大規模リフォームを決めた際、両親と一緒に生前整理を進めた実例では以下のようなステップを踏んだそうです:
- 1. リフォーム会社と打ち合わせ
– どの部屋をどの程度改装するか、見積もりを取る。その際に「荷物を減らしておくと工期が短くなる」とアドバイスされた。 - 2. 部屋ごとに仕分け
– 親の思い出が強い居間や寝室などを一緒に仕分けし、不要な物をリサイクルショップへ。
– 写真や手紙など感情的に大切な物は保管スペースを決め、それ以外はデータ化したり物理的に処分。 - 3. 合掌や念仏で気持ちを落ち着ける
– 浄土真宗の住職にも相談し、「物に過剰な執着を持たなくてもいい」と聞いて親が納得した。
– 捨てる際「今までありがとう」と声をかけることで、家族も心の負担を軽く感じた。 - 4. リフォーム中のトラブル回避
– 荷物を減らしていたため、職人さんが作業しやすく工期短縮。費用も予想より安く済んだ。
– 完成後に荷物を戻しても、本当に必要な物だけなので収納に余裕があり、生活しやすい。
5. まとめ:リフォーム前に生前整理で得られる利点
- 効率アップ: 物を減らしておけば、リフォーム作業がスムーズになり、工期短縮や費用削減に繋がる。
- 新空間の維持: 完成後も不要品が戻らないため、リフォームの効果が持続しやすい。
- 家族の絆が深まる: 親子で一緒に過去の思い出や不要品を仕分けしながら、コミュニケーションが増える。
- 他力本願で心穏やか: 「自分ひとりで抱え込まなくていい」と考え、周囲や仏の力を借りながら、生前整理を焦らず進める。
大規模リフォームは人生の大きなイベントの一つ。その前段階で生前整理を行うことは、物理的にも心理的にも余裕をもって家を整えられるチャンスです。浄土真宗の「他力本願」を参考に、親や家族が共有できるペースで進めてみれば、円滑なリフォームと快適な新生活が待っているはずです。
参考資料
- 『教行信証』 親鸞 聖人
- 『歎異抄』 唯円
- リフォームと生前整理に関する実用書・体験談
- 浄土真宗本願寺派・真宗大谷派 公式情報