目次
はじめに
家族の介護や看取りの場面で何をしてあげられるかを考えるとき、浄土真宗においてはお勤め(勤行)が大きな助けとなります。
お勤めとは、正信偈や和讃などを唱え、南無阿弥陀仏の念仏を中心に行う仏事のこと。
看取りの際、お勤めを上手に活用することで、往生を迎える人にも見送る家族にも深い安心感と穏やかな時間を与えられます。
本記事では、浄土真宗のお勤めを看取りの場面でどのように活かせるか、その具体的方法や意義を解説します。
1. 浄土真宗のお勤めとは?
浄土真宗におけるお勤めとは、阿弥陀仏の教えを学び、正信偈や和讃などの経文を唱え、念仏を称える一連の行為を指します。
日常の朝夕に行うことが多いですが、法要や特別な仏事の際にもお勤めが行われます。
- 正信偈:
- 親鸞聖人が著した「教行信証」の中の一部で、阿弥陀仏と七高僧への賛嘆を述べた偈文。
浄土真宗の代表的なお勤めの中心となることが多い。
- 親鸞聖人が著した「教行信証」の中の一部で、阿弥陀仏と七高僧への賛嘆を述べた偈文。
- 和讃:
- 親鸞聖人が阿弥陀仏や教えを讃える詩歌。
「正像末和讃」など、多数の和讃があり、お勤めの場で唱えられる。
- 親鸞聖人が阿弥陀仏や教えを讃える詩歌。
- 念仏:
- お勤めの最中にも「南無阿弥陀仏」を繰り返し称えることが多く、**阿弥陀仏の慈悲**を感じる中心的な行為。
2. 看取りの場面でお勤めを行うメリット
実際に看取りの場でお勤めを行うと、以下のようなメリットがあります。
- 心の落ち着きと共感:
- 正信偈や和讃を唱えるリズムは安定感をもたらし、家族全員の心を一つにする。
それが安心感を生み、看取りの緊張を和らげる。
- 正信偈や和讃を唱えるリズムは安定感をもたらし、家族全員の心を一つにする。
- 阿弥陀仏とのつながりを感じる:
- お勤めで阿弥陀仏の光を意識することで、「亡くなる人が、すでに本願のもとにいる」という浄土真宗の救いを再確認できる。
- 家族の役割を明確化:
- お勤めを誰がリードし、どのパートを一緒に唱えるかを決めることで、家族がそれぞれの役割を持って看取りに参加できる。
3. 実際の進め方:自宅や病室でお勤めをするには?
お勤めを行う場所は、自宅、病院の病室、介護施設などさまざまです。場所ごとに工夫しながら進めるのが望ましいです。
- 自宅の場合:
- 普段のお内仏(仏壇)があるなら、枕元や近くの部屋で正信偈を唱える。
家族同士が**声を合わせ**、短い時間でもよいので継続する。
- 普段のお内仏(仏壇)があるなら、枕元や近くの部屋で正信偈を唱える。
- 病室の場合:
- 病院の規則を確認し、問題ない範囲で小声や心の中で唱える。
長いお勤めが難しければ、**念仏**だけでも落ち着きを得られる。
- 病院の規則を確認し、問題ない範囲で小声や心の中で唱える。
- 施設の場合:
- 入所先の介護スタッフや施設管理者に事前連絡し、**他の利用者への配慮**を図る。
僧侶に来てもらう場合も、**施設の許可**が必要。
- 入所先の介護スタッフや施設管理者に事前連絡し、**他の利用者への配慮**を図る。
4. 僧侶や門徒仲間との連携
看取り時にお勤めをより深く行いたい場合、菩提寺の僧侶や門徒仲間と連携する方法もあります。
- 僧侶の枕経:
- 亡くなる直前や直後に、僧侶が枕経を行うことで、**阿弥陀仏の光**のもとで最期を迎えられる。
病院の場合、病室での読経可否を確認。
- 亡くなる直前や直後に、僧侶が枕経を行うことで、**阿弥陀仏の光**のもとで最期を迎えられる。
- 門徒仲間の支援:
- 同じ浄土真宗の門徒コミュニティで、**看取りの経験者**がいると、心の面でのサポートや**実践的なアドバイス**が得られる。
5. まとめ
浄土真宗のお勤めは、看取りの場面で阿弥陀仏の光を感じ、**家族と共に念仏**を称えることで深い安心と穏やかさを生む大切な実践となります。
– **正信偈**や**和讃**、**念仏**を通じて心を合わせ、往生する人を見守る。
– 自宅や病室、施設など場所に応じた配慮を行い、短い時間でも唱え続ける。
– 僧侶の協力や門徒仲間の支援を得ることで、**より充実した看取り**が実現しやすい。
このように、お勤めが看取りの場で持つ力を活かせば、**悲しみ**だけでなく**感謝**と**慈悲**に満ちた最期の時間を共に過ごせるでしょう。
参考資料
- 浄土真宗における正信偈・和讃などのお勤めに関する教本や音声資料
- 看取りや臨終の際の仏事に関する浄土真宗僧侶の著作
- 浄土真宗本願寺派 公式サイト
- 真宗大谷派(東本願寺) 公式サイト