失敗事例:後回しにした結果起こったトラブル

終活というと、早めに準備するほどメリットが大きいと言われますが、実際には「まだ元気だし」「急に死の話はしたくない」という理由で後回しにする方も少なくありません。しかし、いざ急な病気や事故が起こった際、何も準備していないために家族間のトラブルや大きな混乱が生じることがあります。
ここでは、実際に終活を後回しにしていたために大きな問題が発生した事例を元に、どんなトラブルが起き得るのか、そして浄土真宗の「他力本願」の考え方をどのように取り入れれば回避できたかを考えてみます。

目次

1. トラブルの背景:後回しにしていた終活

主人公のMさんは60代後半で、定年退職後も体力に自信があり、「終活なんて自分にはまだ早い」と考えていました。
「うちの家族は仲がいいし、資産もそんなにないから揉めないだろう」と思い込み、遺言書やエンディングノートは作成しないまま過ごしていたのです。
しかし、ある日Mさんが脳出血で倒れ、突然意識を失う事態に。ここから家族間のトラブルが始まります。

2. 具体的に起こったトラブル

Mさんが意識を取り戻すまでに時間がかかり、その間に家族は様々な問題に直面しました。

  • 1. 医療・介護の方針が分からない
    – Mさんがどの程度の延命治療を望んでいたのか、事前に誰も知らなかった
    – 兄弟姉妹で意見が食い違い、「これ以上の治療はつらいのでは」「いや、可能な限り救うべきだ」と口論に。
  • 2. 財産・口座情報が不明
    – Mさんは複数の銀行口座や有価証券を持っていたが、どこに口座があるか何が残っているのかを家族が把握していなかった。
    – 入院費の支払いすら、どの口座から出すべきか分からず、家族は手続きに苦戦。
  • 3. 自宅の管理問題
    – Mさんが一人暮らしをしていた自宅は、老朽化物の散乱が進んでおり、家族は掃除やリフォームの必要性に気づくも、Mさんの意向が分からず決断できない。
  • 4. 家族間の対立
    – 兄弟姉妹で「こんなに何も情報がないなんて信じられない」とMさんを責める人、逆に「自分は関わりたくない」という人など、意見の対立が深刻化。
    – 親戚も巻き込んだ無用な口論が続き、家族の雰囲気が一気に悪化

3. 浄土真宗の視点:他力本願がもたらす安心

もしMさんが早い段階から「他力本願」という視点を取り入れ、自力だけで大丈夫と思い込まずに終活を進めていれば、状況は大きく変わっていたかもしれません。

  • 「何もかも完璧にしよう」としなくてもOK
    – 浄土真宗では、阿弥陀如来の力を信じ、「最終的には仏さまに守られている」という安心感を得られます。
    – 余裕を持ってエンディングノートや財産整理を行っていれば、今回のような混乱を防げたでしょう。
  • 家族とのコミュニケーションが増える
    – 「自分の死後は阿弥陀仏にお任せ」という気持ちがあれば、家族に早めに意思を伝えることにも抵抗がなくなりやすい。
    – 先に葬儀や介護の希望を話しておけば、家族間の対立は回避できたかもしれません。
  • 死後の不安が軽減
    – 終活を後回しにしていた原因の一つとして「死を直視したくない」思いがある場合も、「南無阿弥陀仏」を唱える習慣を通じて死への恐れを和らげることができる。

4. 後回しにせず早めに準備するためのアドバイス

この失敗事例から学べるのは、終活を思いついたときが始めどきだということです。以下のポイントを意識すると、後回しにしがちな終活を着実に進められます:

  • 1. 小さなステップから始める
    – 口座情報だけ整理する、医療方針だけ書き出すなど、部分的な作業から。
    – 一度にすべてやろうとすると重荷に感じるので、細分化がコツ。
  • 2. 家族と話す機会を作る
    – いきなり「全部手伝って」と言うのではなく、「ちょっと相談があるんだけど…」と日常の会話の延長で話題を出す。
    – 親戚や兄弟が多い場合は、“終活会議”を定期的に開催するのも手。
  • 3. 僧侶や専門家に相談
    – 書類の手続きや法的な問題は行政書士や弁護士が頼りになる。
    – 浄土真宗の僧侶に相談すれば、葬儀や法要、死に対する不安などを宗教的視点でサポートしてもらえる。

まとめ:後悔しないために“今”から動く

後回しにしていたために大きなトラブルが起きたMさんの例は、終活を先延ばしにするリスクを象徴的に示しています。忙しい現代だからこそ、時間があるうちに少しずつ準備を始めることが、家族の負担を減らし、自分自身も安心して日々を過ごす鍵となるでしょう。
浄土真宗の他力本願という考え方を取り入れ、「すべてを一度に完璧にしなくてもいい」「仏の光の中で少しずつ進めていこう」という姿勢を持てれば、終活が重荷にならず心穏やかに進められます。後悔を残さないためにも、今日できる小さな一歩を踏み出してみませんか。

参考資料

  • 『教行信証』 親鸞 聖人
  • 『歎異抄』 唯円
  • 終活関連の実用書、失敗・成功事例集
  • 浄土真宗本願寺派・真宗大谷派 公式情報
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