電子書籍や音楽データなどデジタル資産も整理対象

終活や生前整理を進めるなかで、家財道具や日常品銀行口座や保険などに注目する一方で、「デジタル資産」を見逃してはいないでしょうか。
スマートフォンやパソコンを使う人が増え、電子書籍や音楽データ、クラウド上のファイル、SNSアカウントなどバーチャルな資産が存在する時代です。こうしたデジタル資産も、死後に家族が対応しなければならない重要な対象となります。
本記事では、電子書籍や音楽データなどのデジタル資産をどのように整理すればいいのか、さらに浄土真宗の「他力本願」を踏まえて心の負担を和らげる方法を考えてみます。

目次

1. なぜデジタル資産の整理が必要なのか

デジタル資産の整理が必要な理由は、家族や相続人が把握していない大きな混乱が生じる可能性があるからです。たとえば、以下のような状況が考えられます。

  • 1. 電子書籍や音楽データのライセンス問題
    – Amazon KindleやApple Musicなどで購入したコンテンツは、アカウントとライセンスが紐付いています。
    – 死後に家族が引き継げるのか、そのまま使用できなくなるのか、正しい知識を持っていないと混乱する可能性があります。
  • 2. 定期購読やサブスクリプションの課金
    – 動画配信や音楽配信などのサブスク料金が亡くなった後も引き落とされ続けるケースがあります。
    – アカウント情報を知らないままだと継続課金される恐れも。
  • 3. SNSやクラウドアカウントの管理
    – FacebookやTwitterなどのSNS、GoogleやDropboxなどのクラウドストレージに故人の写真やファイルが残っている場合、家族がアクセスできないと永遠に取り出せなくなる可能性があります。
  • 4. デジタル資産そのものの価値
    – NFTや仮想通貨(ビットコインなど)を保有している人も増えています。
    – これらのウォレット情報やパスワードを家族が知らないままだと、引き出せずに凍結してしまうかもしれません。

2. デジタル資産の具体的な例

デジタル資産といっても多岐にわたります。以下は一部の具体例です。

  • 電子書籍: Amazon Kindle、Koboなどで購入した書籍データ
  • 音楽データ: iTunesやSpotifyで購入・ダウンロードした楽曲
  • 動画配信サービス: Netflix、Amazon Prime Videoなどのアカウント
  • SNSアカウント: Facebook、Twitter、Instagram、YouTubeなど
  • クラウドストレージ: Google Drive、Dropbox、OneDriveなど
  • 仮想通貨・NFT: ビットコインなどの暗号資産ウォレット、NFTマーケットプレイス

これらのアカウントやライセンスをどう整理し、家族に必要な情報を残すかが鍵となります。

3. 整理の進め方:具体的ステップ

デジタル資産を整理する際、以下のステップを踏むと効果的です。

  1. 1. アカウントの一覧を作る
    – 自分が保有しているすべてのアカウント(SNS、クラウド、電子書籍、音楽配信など)をリストアップする。
    – ユーザー名やメールアドレス、パスワード管理ツールの情報もまとめておく。
  2. 2. 使用目的と継続の必要性をチェック
    – すでに使っていないサービスなら、解約退会を検討。
    – 家族が利用価値を感じる可能性があるなら、ID・パスワードを共有して継続するかどうか協議する。
  3. 3. エンディングノートに記載
    – 整理したアカウント情報をエンディングノートにまとめて、家族にも存在を通知しておく。
    – 仮想通貨ウォレットなどは、秘密鍵の管理方法を明記しておくことが特に重要。
  4. 4. 法的・契約上の確認
    – 電子書籍や音楽データはライセンス契約の形が多く、死後に家族が引き継げない場合も。
    – 可能であれば、アカウントの死後処理ポリシーなどを確認しておく。

4. 浄土真宗の「他力本願」を活かして心の負担を減らす

デジタル資産の整理は、煩雑な作業が多く、精神的負担にもなりがちです。浄土真宗の「他力本願」の考え方を意識することで、すべてを一人で完璧にやろうとするプレッシャーから解放されます。

  • 1. 専門家や家族と協力する
    – 弁護士やITに詳しい家族の力を借りて、アカウントの管理契約確認を分担する。
    – 「仏の導きがあるから大丈夫」という姿勢で、焦らずゆっくり進める。
  • 2. 執着を減らす
    – 電子書籍や音楽データも、物質的な本やCDと同じように無常であると捉える。
    – 「最終的には仏にすべてお任せ」と思えば、過度にデータを抱えすぎなくなる。

5. まとめ:デジタル資産も生前整理の対象に

  • 電子書籍や音楽データのライセンス問題: 家族が引き継げるのか、利用できなくなるのかを確認。
  • サブスクリプション: 放置しておくと、死後も課金され続ける恐れがあるため、ID・パスワードの管理をしっかり行う。
  • SNS・クラウドアカウント: 写真や書類データを家族が取り出せるようにしておく。
  • 仮想通貨やNFT: ウォレットの秘密鍵やパスワードを安全に保管し、エンディングノートに記載する。
  • 他力本願の精神: 「一人で完璧にやる必要はない」。家族や専門家と協力しつつ、デジタル資産も整理対象に含める。

紙の本やCD、DVDなどの整理が進んでも、デジタル資産を後回しにすると家族が苦労する可能性が高くなります。物理的な整理と同時に、電子書籍や音楽データ、SNSアカウントなども早めに見直し、家族と情報を共有しておきましょう。
浄土真宗の「他力本願」を意識し、自分だけに負担を抱え込まず、家族や専門家と協力しながら、焦らず一歩ずつ整理を進めることが、円満な終活のカギとなるはずです。

参考資料

  • 『教行信証』 親鸞 聖人
  • 『歎異抄』 唯円
  • IT・デジタル資産整理に関する実用書・ガイド
  • 浄土真宗本願寺派・真宗大谷派 公式情報
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