お西・お東それぞれの勤行式の違い

目次

はじめに

浄土真宗には、**本願寺派(お西)**と**真宗大谷派(お東)**の2つの主要な宗派があります。両派ともに、**念仏**を中心に教えを広めている点では共通していますが、**勤行式**(お勤め)の方法にはいくつかの違いがあります。勤行式は、法要や日常的なお勤めで仏前に向かって行う儀式であり、その内容や進行方法、使用する経文や和讃には、各派の特徴が反映されています。本記事では、お西とお東の勤行式の違いについて、主なポイントを解説し、参拝者として知っておくべき作法や流れについても触れます。

1. お西(本願寺派)の勤行式

**本願寺派(お西)**の勤行式は、以下の特徴があります。お西の信徒は、主に**「正信偈」**や**「御文」**を中心にお勤めを行います。お西の伝統では、法要や日々のお勤めにおいて、以下の流れが一般的です:

お西の基本的な勤行の流れ

  1. 本尊に向かって合掌:勤行を始める前に、本尊(阿弥陀仏)に向かって静かに合掌し、礼拝します。
  2. 正信偈の唱和:本願寺派では、**「正信偈」**を中心に読経が行われます。この経文は、親鸞聖人の教えを広く伝えるために編まれたもので、阿弥陀仏の本願を讃える重要な役割を果たします。
  3. 御文章の拝読:本願寺派では、親鸞聖人の教えを記した**「御文章」**を一部読むこともあります。これにより、浄土真宗の根本的な教義が再確認されます。
  4. 和讃の歌唱:和讃は、親鸞聖人が詠んだ短い歌(和歌)で、阿弥陀仏の慈悲を称える内容のものです。**リズムに合わせて歌う**ことで、仏教の教義を実感しながら覚えることができます。
  5. 念仏の称名:最後に**「南無阿弥陀仏」**を繰り返し称える念仏の時間があり、仏の光に包まれている感覚を実感します。

2. お東(真宗大谷派)の勤行式

**真宗大谷派(お東)**の勤行式も、お西のものと共通点が多いですが、いくつかの特徴的な違いがあります。お東の信徒も、同様に**「正信偈」**を大切にしますが、特にその唱和方法や使用する経文に違いがあります。以下に、お東の勤行式の流れを説明します:

お東の基本的な勤行の流れ

  1. 本尊に向かって合掌:お東でも本尊に向かって合掌し、心を整えます。お西と同様に、仏前での礼拝が最初に行われます。
  2. 正信偈の唱和:お東でも、**「正信偈」**を唱和することが中心です。ただし、唱和する際に少し異なるリズムや節回しを用いることがあります。
  3. 御文章の拝読:お東でも、親鸞聖人の**「御文章」**を拝読することがありますが、御文章の内容やその扱い方に関してお西との微妙な違いがあります。
  4. 和讃の歌唱:お東では和讃を唱えることもありますが、唱える和讃の内容や数が異なる場合もあります。和讃を通じて仏教の教義を**歌いながら伝える**という点はお西と共通しています。
  5. 念仏の称名:最後に**「南無阿弥陀仏」**を繰り返し称え、心を落ち着けます。お東でも、この念仏を称えることは重要な意味を持っています。

3. お西とお東の違い:合掌のタイミングや和讃の扱い

お西(本願寺派)とお東(真宗大谷派)の勤行式の大きな違いは、主に以下の2点に集約されます:

1. 合掌のタイミング

– **お西(本願寺派)**:焼香の前に合掌をせず、焼香後に合掌するのが一般的です。
– **お東(真宗大谷派)**:焼香の前に一度合掌をし、その後、焼香を行い、焼香後にも合掌します。
この違いは、実際に法要に参加する際に注意が必要です。どちらが正しいというわけではなく、各派の伝統に従うことが求められます。

2. 和讃の扱い方

– **お西(本願寺派)**:和讃は法要の最後に歌唱することが多く、また、和讃の数や歌詞が定まっていることがあります。
– **お東(真宗大谷派)**:和讃の歌唱がもう少し自由であり、唱和する和讃の数や種類が若干異なることがあります。歌詞や調子が少し違う場合もあるので、各寺院での伝統に従いましょう。
この違いは、**「和讃をどのタイミングで歌うか」**や**「どれだけの和讃を唱えるか」**に関して細かな差があります。

4. 参拝時の作法と地域差

**お西**と**お東**の両派においては、参拝時に基本的に同じく「南無阿弥陀仏」の念仏を称えますが、地域や寺院によって若干の違いが見られることがあります。特に、以下の点に留意する必要があります:

  • 和讃のリズムや歌詞の違い:お西では定型のリズムが重視されることが多く、お東では流派や寺院ごとの工夫が見られる場合がある。
  • 合掌のタイミング:お西では焼香後、合掌をすることが一般的ですが、お東では焼香前にも合掌が求められます。参列者としては、その場に合わせて動作を行うことが大切です。

両派の作法を理解し、周囲の動きや住職の指示に従うことで、礼儀正しい参拝ができます。無理に形式を守るのではなく、本来の意図を感じ取ることが大切です。

5. 勤行式の共通点:阿弥陀仏の本願に感謝すること

お西とお東の違いがあっても、両派の本質は**「阿弥陀仏の本願にすべてをゆだねる」**という思想に基づいています。念仏や読経を通じて、私たちは**「今生きていることに感謝し、阿弥陀仏の慈悲を感じる」**ことが目的です。お西・お東どちらの流れであっても、**「念仏を称え続けること」**が最も大切なポイントです。

本願寺派(お西)と真宗大谷派(お東)の**勤行式**は、仏前での礼拝と念仏によって、**「ただ念仏」**というシンプルで深い教えを私たちに示しています。両派が共通しているのは、阿弥陀仏の光に包まれながら、日々の生活を大切にし、念仏を通じて仏の恩恵を感じ取ることです。

まとめ

**お西(本願寺派)**と**お東(真宗大谷派)**の勤行式は、基本的な教義や修行法が共通している中で、少しずつ異なる作法が伝統として残っています。
特に、**合掌のタイミング**や**和讃の扱い方**には違いがありますが、どちらも「阿弥陀仏の本願を感じる時間」として大切にされています。参拝者としては、各寺院の伝統に従い、その場の雰囲気や住職の指示に合わせることで、失礼なく参加することができます。最も大切なのは、**「ただ念仏」の心**を忘れずに、感謝の気持ちを持ってお勤めを行うことです。

参考資料

これで「お西・お東それぞれの勤行式の違い」を終了します。

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