葬儀で骨上げしなかった遺骨を後で収骨するには

目次

1. はじめに:骨上げをしなかったケース

近年、葬儀を簡略化する流れや、直葬(通夜式や告別式を行わず火葬のみ)の増加などにより、火葬後にそのまま遺骨を受け取らず、葬儀社や火葬場で一時保管される場合があります。また、親族が遠方で集まれず、骨上げ(収骨)を後日行うケースも珍しくありません。
浄土真宗では、「亡くなった方は阿弥陀仏の本願によってすでに往生している」と考えるため、火葬後すぐに骨上げをしなかったからといって故人の救いに影響が出るわけではありません。しかし、遺族や親族が故人とのご縁を再確認しやすいよう、遺骨をしかるべき形で引き取り、供養を続ける準備をすることが大切です。本記事では、葬儀後に骨上げ(収骨)を後で行う方法や注意点を解説します。

2. 火葬場や葬儀社での一時保管

骨上げを行わず、火葬後の遺骨が一時的に保管されるケースとしては、以下のような事情があります:

  • 親族の都合:
    – 遠方の家族が揃わないため、後日改めて骨上げを行いたい。
  • 葬儀を簡略化:
    – 直葬で式をせず、遺骨をすぐに引き取らなかった。
  • 墓や納骨堂の準備が間に合わない:
    – お墓を建てる資金や時間が足りず、遺骨を保管してもらう。

火葬場や葬儀社によっては短期間(数日〜数週間)なら無償で保管してくれる場合もありますが、有料での長期保管になることもあるため、保管期間と料金を事前に確認することが大切です。

3. 後から収骨(骨上げ)する手順

「後日、骨上げを行いたい」という場合、次のような流れで手続きを進めます:

  1. 保管先に連絡
    – 遺骨を保管してもらっている火葬場や葬儀社へ日程を相談し、いつ骨上げに行くかを決める。
    – 必要ならば住職や親族とのスケジュール調整も行う。
  2. 骨上げ(収骨)を行う
    – 指定された場所に行き、担当者の立ち会いのもと遺骨を骨壺に納める。
    – 箸や収骨ピンセットなどの道具は火葬場や葬儀社が用意してくれることが多い。
  3. お礼や支払い
    – もし有償保管されていた場合は保管料を清算し、持ち帰る手続きを行う。
    – 立ち会いの担当者に簡単なお礼を伝えておくと良い。
  4. 納骨の準備
    – 骨壺を自宅で安置するか、四十九日百ヶ日など節目の法要でお墓や納骨堂へ納める。

4. 注意点:長期間放置しない

遺骨を受け取らずに長期間放置すると、以下のようなリスクがあります:

  • 保管期限切れによる処分:
    – 火葬場や葬儀社での保管期限を過ぎると、無縁骨として合同納骨される可能性がある。
  • 費用が膨大化:
    – 有料保管の場合、日数に応じて保管料が積み重なり、後で大きな金銭負担になることがある。
  • 親族トラブル:
    – 骨上げをしないまま時間が経つと、他の親族が不満や不安を抱え、意見対立を招くリスク。

こうした問題を避けるためにも、早めに骨上げの時期を決め、保管先と明確な連絡を取り合うことが大切です。

5. 浄土真宗的な視点:いつ収骨しても往生に影響はない

浄土真宗では、往生は阿弥陀如来の本願によって既に定まっていると考えます。よって、

  • 収骨のタイミングが遅れても、故人の救いに問題はない。
  • 骨そのものに特別な霊的意味を持たず、残された者が念仏を称え、故人を偲ぶことが重要。

しかし、実際に遺骨をどうするかは、親族や住職、葬儀社との相談の上で決めるべき事務手続きでもあります。他力本願の教えを踏まえつつ、現実的な対応を進めましょう。

6. 収骨後の法要や納骨

遺骨を改めて骨壺に納めたら、法要のタイミングに合わせてお墓や納骨堂に納骨するのが一般的です。たとえば、

  • 四十九日: 満中陰法要と同時に納骨する。
  • 百ヶ日一周忌: 家族が集まりやすい節目で納骨する。
  • すぐ納骨: すでにお墓や納骨堂の準備が整っている場合、収骨直後に納骨も可能。

浄土真宗では、法要の際に住職を招き、「正信偈」や「恩徳讃」などを読経して念仏を称えます。これにより、故人が既に阿弥陀仏の救いにあることを再確認し、遺族が心を安らかに保つ大切な時間となります。

7. まとめ:後から収骨する場合の流れと心構え

葬儀で骨上げを行わず、後で収骨する状況は、親族の都合葬儀形態の多様化に伴って増えています。浄土真宗の教えでは、「いつ収骨しても故人の往生は揺るがない」という安心感がありますが、下記の点を押さえてスムーズに進めましょう:

  • **保管先への連絡**: 火葬場や葬儀社の保管期限や費用を確認し、早めに受け取り日を決定。
  • **収骨後の納骨**: 四十九日や百ヶ日、一周忌などの法要と合わせて納骨式を行い、**住職の読経と念仏**で故人を偲ぶ。
  • **親族の合意**: 後から収骨する理由や時期を、家族同士で共有してトラブルを防ぐ。

こうした流れを踏まえ、阿弥陀如来の本願に支えられた**安心**のもと、故人へのご縁を大切に保ちながら収骨・納骨の準備を進めることが大切です。

参考資料

  • 『教行信証』 親鸞 聖人 著
  • 『歎異抄』 唯円 著
  • 火葬場や葬儀社の保管規定
  • 浄土真宗本願寺派・真宗大谷派 公式サイト
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