はじめに
浄土真宗の法要や葬儀の際に、僧侶へのお礼(お布施)とは別にお車代や御膳料を用意することがあります。これらは、交通費や食事の負担をフォローするための金銭であり、感謝の気持ちを形で示すために用いられます。
この記事では、お車代・御膳料の大まかな相場や、実際の渡し方について、浄土真宗の視点や一般的なマナーの両面からまとめます。
あくまで目安であり、寺院や地域の慣習、法要の規模によって異なる場合もあるため、最終的には住職や家族、地域の慣習に合わせて調整してください。
1. お車代とは
お車代は、僧侶が法要や葬儀に来てくださる際の交通費を補助するための金銭です。
お布施とは別枠で用意することが多く、以下のようなポイントに注意します。
- 交通手段:車で来られる場合、ガソリン代や駐車料金を想定した金額を用意する。
電車やバスで来られるなら、往復の実費を考慮する。 - 相場:2,000円~5,000円程度が一般的だが、距離や時間、地域によって変わる。
遠方で高速道路を使うなどの場合は、5,000円~1万円程度になることも。 - 渡し方:「お車代」と表書きした白封筒(小さめのもの)に入れ、封は糊付けしない。
受付や法要終了時、僧侶へ直接手渡しするケースが多い。
2. 御膳料(おぜんりょう)とは
御膳料は、僧侶が法要後のお斎(会食)に参加できない場合に、その食事代相当をお金で渡すためのものです。特に、法要後に会食を用意したのに、僧侶が都合で残れないという状況で渡されます。
- 相場:3,000円~1万円程度が一般的。準備している会食の内容や、地域の慣習によって上下。
施主がどの程度の食事を想定しているかで大きく変わる。 - 渡し方:白封筒に「御膳料」と表書きし、お車代と同様に直接手渡し。
お車代と一緒に同封しないのが原則で、それぞれ別封筒が望ましい。 - 住職が参加する場合:僧侶が会食に残るなら、御膳料は渡さない(必要ない)。
ただし、お車代など別の事情で謝礼を用意するケースはある。
3. お車代・御膳料の渡し方のポイント
- タイミング:一般的には
- 法要が始まる前の受付
- 法要終了後の挨拶時
のいずれかで手渡す。事前に僧侶にタイミングを尋ねてもよい。
- 表書き:「御車代」「お車代」、「御膳料」「お膳料」と書く。地域によっては違う表記を使うことも。
施主の名前や◯◯家の名前を裏面に書く。法要名を入れる場合もある。 - 中身が見えないように:白封筒に入れ、ふくさなどで包むか、受付に預ける場合はケースバイケース。僧侶へ直接手渡しが原則。
- 御礼の言葉:「本日はお忙しい中ありがとうございます」など、ひとことお礼を添えながら渡すのが礼儀。
4. 必要がないケース
お車代や御膳料が不要なケースもあります。たとえば、
- 寺院にお参りする場合:法要を寺院の本堂で行うときは、僧侶が移動しないためお車代は不要。
- 僧侶が会食に参加:法要後のお斎に僧侶が同席してくれる場合は、御膳料も不要。
- 寺院で明示的に辞退:住職が「不要です」と言ってくれる場合もあり、先方の意向を尊重する。
ただし、お布施は別途必要になるため、「お車代も御膳料も不要だけどお布施はしっかり用意」という形が多いです。
5. 相場の例
最後に、あくまでも一例ですが、お車代・御膳料の一般的な相場を表にまとめます。※地域差や法要の規模により変動します。
項目 | 相場 | 備考 |
---|---|---|
お車代 | 2,000円~5,000円程度 (遠方なら1万円前後) |
交通費 短距離なら2,000~3,000円 高速利用なら5,000円~1万円 |
御膳料 | 3,000円~1万円程度 | 法要後のお斎に 参加できない場合 |
上記はあくまで目安であり、寺院や地域の慣習、距離・食事のランクによって増減します。
わからない場合は、施主同士や親族、住職に相談するとよいでしょう。
—
まとめ
浄土真宗の法要において、お車代や御膳料は、僧侶への感謝や移動・食事の負担をフォローする意味で用意します。
1. お車代: 移動に対する謝礼で、2,000~5,000円が一般的。遠方ならもう少し上乗せ。
2. 御膳料: 僧侶が法要後の会食に残れない時の「食事代相当」。3,000円~1万円ほど。
3. 渡し方: 白封筒に「お車代」「御膳料」と表書きし、ふくさで包み、**法要前後**に僧侶へ直接渡す。
「すでに阿弥陀仏の光に包まれている」という他力本願の教えを土台に、**感謝の心**を正しく表すためのマナーとして覚えておきましょう。寺院や住職に相談しながら用意すると、スムーズです。
参考資料
- 浄土真宗本願寺派(西本願寺)公式サイト
https://www.hongwanji.or.jp - 真宗大谷派(東本願寺)公式サイト
https://www.higashihonganji.or.jp - 寺院や葬祭業者の「法事マニュアル」
- 本願寺出版社『正信偈のこころ』