はじめに
スマートフォンやパソコンが当たり前の現代、「SNS」を通じて多種多様な情報を得ることができますが、そこから念仏仲間や同じ宗教観を持つ人と出会う例も増えているようです。実は私自身、SNSをきっかけにリモート共修(オンラインで念仏やお勤めを一緒に行う活動)を始め、同じ浄土真宗を学ぶ友人と深く繋がる経験をしました。今回は、その体験談をもとに、SNSで念仏仲間を見つける面白さや、リモート共修の楽しさについてご紹介したいと思います。オフラインの寺院活動とはひと味違う、「オンライン仏教コミュニティ」の魅力をお伝えします。
1. なぜSNSで念仏仲間が見つかるのか
1-1. 検索で「他力本願」や「浄土真宗」を調べてみた
SNSといえば、TwitterやInstagram、Facebookなどが代表的。私の場合、ある日「他力本願」や「浄土真宗」というワードをTwitterで検索してみました。すると、そこには強い宗教勧誘というよりも、「法要に参加してみた感想」や「念仏で救われた体験談」をシェアしている人々が多くいて、読んでいるうちに「自分もこういう人たちと話がしたい」と思い始めたのです。
実際、ハッシュタグで「#南無阿弥陀仏」「#念仏」などを追うと、意外にも日常の中で念仏を称える習慣や法事に参加しての気づきを発信しているアカウントが見つかりました。最初はROM(見る専)状態でしたが、少し勇気を出してコメントしてみると、あっさり返事が来て驚いたのを覚えています。
1-2. 気軽なやり取りが生まれやすい
SNSの強みは、共感や興味を軸に、見知らぬ人同士が気軽に交流できる点です。宗教や仏教に関する投稿は、普段のリアルコミュニティではちょっと話しにくいかもしれませんが、SNS上なら「私も法話を聞いて変わった体験があります」などと、簡単に声を掛け合うことができます。
これがきっかけで私自身も「他力本願って本当にラクになる考えですよね」とコメントを送ったところ、同じように自宅で念仏を称える人たちと繋がり、「いつかオンラインで一緒にお勤めしませんか?」という話に発展していきました。
2. リモート共修ってどうやるの?
2-1. ZoomやGoogle Meetでのグループお勤め
私が参加したのは、SNSで知り合った数人が発起人となり、「毎週1回、夜にZoomで集まって念仏や正信偈を称える」というリモート共修の場でした。
・開始時間:日本時間の21時スタート
・参加方法:事前に共有されたZoomのURLをクリック
・進行:最初にみんなで「合掌 → 南無阿弥陀仏」を称え、経本を画面に映しながら正信偈や和讃を唱える。
・フリートーク:最後に10分ほど雑談し、近況や学びをシェア。
こんな簡易的な形でも、全国各地、時には海外からの参加者もいて、わいわいと雰囲気よく進むのが面白いところです。
2-2. 音声の問題と工夫
念仏や読経をみんな同時に声を出すとタイムラグが発生しやすく、Zoomでは音声が重なって雑音になることもあります。そこで工夫としては、主導者のマイクだけON、他の参加者はミュートにして「心の中で合わせる」という方法が一般的。
「全員の声が重なる臨場感」を求める人には物足りないかもしれませんが、この形式ならノイズも減り、進行がスムーズです。お互い顔は見えているので、「一緒に称えている」感覚は意外にも得られます。
3. リモート共修に感じた魅力
3-1. 距離と時間を超えて繋がる力
私がリモート共修に参加して一番感動したのは、「物理的な距離を超えて人々が念仏や正信偈で一体感を得られる」という点です。北海道や九州、果ては海外在住の方も同じURLにアクセスし、同時刻に「南無阿弥陀仏」を称えていると考えると不思議な連帯感がわきました。
実際、参加者同士が「今日は仕事が大変だったけど、念仏で心が軽くなった」「日常生活の中で法座に行ける場所がないから助かる」と語り合う場面があり、私も改めて「SNSの力ってすごいな」と思った瞬間でした。
3-2. お坊さんが加わるとさらに深まる
SNSで知り合った仲間だけで進めるのも良いですが、ときどき僧侶(住職)もゲストで加わってくれると、法話や教義の深い部分を聞けて勉強になる場面があります。
私が参加した回では、ある浄土真宗のお寺の若い住職が「では今日は悪人正機について、一緒に考えてみましょう」と短い話をしてくれました。これが非常にわかりやすく、終了後にはみんなで「今週の生活でこれをどう生かそう?」と盛り上がり、より実践的な仏教の学びとなりました。
4. SNS念仏仲間を見つける上での注意点
4-1. 怪しい勧誘には気をつけて
SNSで「仏教」と検索すると、中には強引な宗教勧誘やビジネス目的の集まりに紛れ込むリスクもあります。私が参加したコミュニティはお金の要求が一切なく、みんなが自主的に集まる緩やかなネットワークでしたが、何らかの料金設定や寄付を求められるケースもあると聞きます。
そのため、最初は一度きりのイベントや無料のオンライン法座を通じて雰囲気を掴んでみて、「ここは信用できる」と思ったら深く関わるのが安全でしょう。
4-2. オフラインとの両立が理想
オンラインでの念仏や共修は便利で画期的ですが、やはり機器トラブルや音声遅延などの問題はゼロではありませんし、実際の寺院での法要ほどの臨場感にはやや欠けます。
可能であれば、休日や長期休暇にリアルなお寺を訪れたり、法要に足を運んでみると、SNSで得た仲間や学びを一層深めることができるはずです。私自身も、オンラインで仲良くなった人たちと実際に法話会で対面したときは、オンラインとはまた違う興奮を味わいました。
5. まとめ
「SNSで見つけた念仏仲間:リモート共修の楽しさ」は、まさに現代ならではの仏教実践の新しい形と言えます。物理的に離れていても、ZoomやGoogle Meet、Twitterスペースなどのツールを使い、各地の人が同じ時間に合掌し、南無阿弥陀仏を称え、正信偈を学び合う――この一体感は思った以上に強く、「自分は孤立していない」と感じさせてくれます。
もちろんオンラインだけで全てが完結するわけではなく、オフラインの法要や実際の寺院参拝にも意味があるでしょう。しかし、SNSやリモート共修がきっかけで仏教仲間が増えたり、念仏に対する興味が深まったりするのは、今の時代ならではの大きなメリット。もし興味があれば、最初はSNSで誰かの発信をフォローしつつ、ゆるやかにコミュニケーションを始めてみてはいかがでしょうか。他力本願の教えのもと、互いに励まし合い、学び合う仲間を見つけられるかもしれません。
【参考文献・おすすめ情報】
- 各寺院のSNS(Twitter, Instagram, Facebook): オンライン法座や行事告知
- 親鸞聖人 著 『教行信証』: 浄土真宗の核心理解
- オンライン仏教コミュニティ: Zoom法話会, リモート念仏会など検索してみる